疲れてしまったハンドメイド作家が長く続けるコツ【結論 : 自分軸を持つ】
こんにちは。
本業のハンドメイド作家として現在田舎に移住し、のんびりライフを送っている者です。
作家歴も10年弱と長くなり、今までにたくさんのハンドメイド作家さんと関わってきました。
以前はとても積極的に活動されていたのだけど、いつのまにか作家をやめていかれた方も何人もいらっしゃいました。
売れる、売れないに関わらず、いつも気疲れが多く疲弊している作家さん、いつのまにかやめていかれた作家さんには、皆さん共通点があるように思います。
今回は、この原因について深堀りし、ハンドメイド作家として長く目的をもって継続していくコツをお話したいと思います。
ハンドメイド作家に疲れてしまった方、ハンドメイド作家初心者さんのお役に立てたら幸いです。
作家としての軸が定まっていないと疲弊しやすく長く続かない
結論から言いますと、疲弊してしまい辞めていかれるハンドメイド作家さんの共通点とは、作家としての軸が定まっていないということです。
「売れたい」「稼ぎたい」という曖昧な欲求が先立って、自分の作家としての目的、ゴール地点が明確に定まっていないので、何かと他の作家さんやお客様に振り回されてしまう。
そういう場合がとても多いのです。
「売れたい」というのはハンドメイド作家をやる目的ではありませんよね。稼ぎたい、売れたいのなら、ハンドメイド作家でなくてもできることです。
なぜ、ハンドメイド作家でいたいのか?
ハンドメイド作家として売れたいのはなぜか?
作品をつくることは、自分にとってどういう意味があるか?
ということを、ぜひもっと突き詰めて考えてみましょう。
(大前提として、ハンドメイドは稼ぐには不向き。どうしてもハンドメイド作家として稼ぎたいなら、可能性のある方法をこちらの記事でご紹介しています。)
売れっ子ハンドメイド作家は儲かるか?【稼げるハンドメイド作家3パターン】 – ハンドメイド作家の田舎暮らし (monogatari.site)
(また売れないことに悩んでいるなら、こちらの記事がおすすめです。)
ハンドメイド作家が売れないときにするべきこと – ハンドメイド作家の田舎暮らし (monogatari.site)
そもそもハンドメイド作家は軸がブレやすいお仕事です
なぜ作家としての軸が大切かというと、上でも書きましたが、周りばかり見てしまって自分のブランドと自分の作品に集中できていないから。
もちろん、自分のことだけ見ていればいいわけではありませんし、販売のノウハウを学んだり、成功している方の先例を見習ったり、流行やニーズをキャッチしたりと、必要なことはあります。
ただ、軸がブレた状態で販売のノウハウに沿ってもニーズや流行を追っても、ブランドとして成長しませんし、長続きしません。
ハンドメイド作家も色々なので一概には言えませんが、ハンドメイド作家が芸術家や生粋のアーティストと違う点は、作品づくりから販売まですべてをひとりでこなしているところです。
ハンドメイド作家は自分で作品を作り、売り方を考え広告宣伝をして、自分でお客様を得て販売していかなければなりません。
ひとつの会社の各部署で行われている業務をひとりで担っているのと同じで、実はかなり高度なことをしているのです。
〖ハンドメイド作家一人分のお仕事〗
▶商品開発部
- デザイン・素材企画
- 新商品開発
- クオリティ管理
- メンテナンス事業etc.
▶営業部
- 営業企画
- 広報
- 新規開拓etc.
▶管理部
- 経理
- 総務
- リスク管理
- 事務企画
- 生産管理etc.
つまりアーティストのようなクリエイティブな面を持ちながら、営業、広報、生産管理、経理、総務、お客様対応、取引先対応、そしてそれらすべてに決断をくだす社長でもあります。
一人何役もこなすわけですから、ブレやすくなるのも当然ではないでしょうか。
そこで、自分の作家としての目的、ゴール地点をしっかり定めることがとても重要になってきます。
軸を定めることは、ブランドコンセプト、ブランディングを固めることにも繋がるので、まだの方はぜひ早いうちに取り掛かりましょう。
ここからは具体的な例を挙げてご説明します。
自分軸がブレているかも?ブレてるときの具体例
例えばよく目にする例ですが、こんな経験はありませんか?
- 他の作家さんの作風や売り方について文句を言いたくなる
- 売れないからといって値下げを繰り返す
- 作家仲間と愚痴を言い合う
- 無理しておまけやプレゼント企画をしてしまう
- 他の作家さんの作品を見て自分と比較する
- 同じジャンルの作家さんが気になって頻繁にチェックしている
- 自分や知り合い作家さんの作風に似ている作品を見つけると黙っていられない
こんな状態なら要注意。
一つでも当てはまれば、自分軸がブレている可能性があります。
軸がブレると外側からの情報に惑わされやすく、あやふやな判断基準のもとに行動してしまいがち。
ネガティブに偏りやすくなり、自信を失っていったり、マナー警察のような精神状態に陥ったり、本来の目的とは違う部分でどんどん消耗していきます。
そうならないために、ハンドメイド作家としての軸、目的をはっきりさせることが大切なのですが、誤った目的を設定してしまうのも、また要注意なのです。
ハンドメイド作家としての目的とは?自分軸を設定する方法
あなたのハンドメイド作家としての目的は何ですか?
間違いやすいのですが、『目的』と『目標』は異なります。
◎目的と目標の違い
▶目的(=ゴール)
最終的に到達したい部分のことを指します。 長期的に目指すもの。抽象的。
▶目標(=目的までのいくつかの指標)
最終的に到達したい地点に向けて、その間に設定される小さな指標のことを指します。 短期的に目指すもの。具体的。
つまり、一番のゴールが『目的』で、その目的を達成するまでに細かく設定する指標が『目標』ということになります。
なので、例えば、
- 月収〇〇万円稼ぐ
- 個展を開く
- 雑誌に掲載されるようになる
- アトリエを持つ
このような指標は、目的ではなく、目標です。
◎目的=企業理念のようなもの
ハンドメイド作家にとっての目的とは、言い換えればハンドメイド作家としての存在意義、目指すあり方のようなもの。
企業でいう『企業理念』のことです。
ここで、東京ディズニーリゾートを経営するオリエンタルランドと、ANAグループの企業理念を見てみましょう。
【オリエンタルランドの企業理念】
▶企業使命
自由でみずみずしい発想を原動力に すばらしい夢と感動 ひととしての喜び そしてやすらぎを提供します。
▶経営姿勢
1. 対話する経営
2. 独創的で質の高い価値の提供
3. 個性の尊重とやる気の支援
4. 経営のたゆまぬ革新と進化
5. 利益ある成長と貢献
6. 調和と共生
▶行動指針
1. 探究と開拓
2. 自立と挑戦
3. 情熱と実行
【ANAグループの企業理念】
▶経営理念
安心と信頼を基礎に、世界をつなぐ心の翼で夢にあふれる未来に貢献します
▶経営ビジョン
ANAグループは、お客様満足と価値創造で世界のリーディングエアライングループを目指します
▶行動指針
あんしん、あったか、あかるく元気!
いかがでしょう?
企業理念(経営理念など混じっていますが)って、とにかく抽象的な言葉が並んでいます。
抽象的な表現が多いのは、大きなゴール、存在意義、世界観の部分が語られるためです。
企業理念は、どんな理由、目的があって存在しているか、誰にどんな価値を提供しているか、を宣言することによって企業の進む方向性を明らかにする、木の根っこのような、とても大切なもの。
企業が世の中に価値を提供し続け、存続していくためには、しっかりとした企業理念が必須と言われています。
「ハンドメイド作家は企業とは違う。企業理念なんてちょっと大げさじゃないの。」
そんなふうに思う方も多いかもしれません。
私も以前はそう思っていましたが、作家歴が長くなるにつれて目的を設定することの重要さがより身に染みてくるようになりました。
世の中に価値を提供し、存続し続けようとするのは、規模の差こそあれ、ハンドメイド作家も企業も同じです。
◎いざ、目的を設定しよう
では、あなたのハンドメイド作家としての目的を考えてみましょう。
作家として、どんな世界観を実現したいですか?
どのようなお客様に対して、作品を通してどのような価値を届けたいですか?
なぜあなたはハンドメイド作家なのでしょうか?
ぜひノートを広げて、自問自答してみてください。
すぐには答えが出てこないかもしれませんが、しばらく考えているうちに忘れていたことを思い出したり、目指したいビジョンが明確に見えてくるかもしれません。
利益は後からついてくる
「企業の目的は利益ではない」
「マネジメント」という言葉を世の中に広く知らしめた学者、世界的な経営コンサルタントでもあるピーター・ドラッカーの有名な言葉です。
会社の目的は理念や使命の実現であり、そのやり方が正しければ、利益は後からついてくる、と言われます。
利益を一番の目的にしてしまうと、存在意義や方向性が曖昧になり、そのため大切な部分を見失いやすくなり、どうしても長続きしにくいのではと思います。
長い目で見たブランドのゴール地点(目的)は、数字ではなく世界観でつくる(設定する)ことが大切です。
どんなにニッチな分野だとしても、その世界観を深めると、そこにお客様がついてきてくださいます。
作家もお客様もひとりの人間です。
ハンドメイド作家が長く継続するためには、作家もお客様もその世界観の中でずっと幸せでいられなければなりません。
その方向性を見失わないようにするための『目的』(作家としての自分軸)なのです。
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