ハンドメイド作家が本業になった経緯【お金と経験なくてもなれる!】
こんにちは、白井です。
ハンドメイド作家歴は10年近くになります。
10年前は、ハンドメイド作家という呼び名も今ほどは一般的ではありませんでしたし、まさかお仕事になるなんて想像していませんでした。
現在はありがたいことに本業作家として活動させていただいていますが、本業の作家さんは私の周りにも実はそんなに多くありません。
本業作家さんが身近にいないと、初心者がどのようにしてどんな経緯で本業作家になるのかなんて、なかなか想像できないのではないでしょうか。
ということで今回は、お金も経験もない完全初心者だった私がどのように本業作家になったかについてご紹介したいと思います。
本業作家を目指す方のご参考になれば幸いです。
お金も経験もないけどハンドメイド作家になりたい。何を作る?
ハンドメイド作家を始める前、私は普通の会社員でした。
平日は会社で働き、休日は会社疲れを癒やすために体を休めたり買い物や遊びに行ったり、の繰り返しです。
学生時代に簡単なビーズ小物などをつくってみたことはありましたが、大人になってからは、これといって何かを作ったことはありませんでした。
実際にハンドメイド作品を作り始めたのは、色々な事情で会社員を辞めて、自由な時間ができたときです。
芸大や美大を出たわけでもなく、商品作りのアイディアがあるわけでもありません。
ただ、何かつくって売ってみたいと思っただけでした。
さて、何を作ろう?
資金がないので、元手の要らないものがいい。でも、ちゃんと売り物になるものがいい。
そんな中、私がはじめて作り始めたのは女性用のアクセサリーでした。
アクセサリーパーツをパーツ屋さんで購入して組み立てるだけのアクセサリーですが、既製品のアクセサリーパーツを使えば、お店で売られているものと変わらないクオリティーになります。
安価で簡単に売り物になるものをつくることができる。
そこが、作品販売・作品づくり未経験の私でも案外簡単に作家活動を始められたポイントでした。
ハンドメイドマーケットに登録
作品数がある程度揃ったら、ネットで売ろうと決めていました。
イベントに出るには出展料がかかるし、委託店に置いてもらうなんて夢のまた夢、という頃のことです。
ネットで売るなら初期費用も面倒な準備も要りません。(イベントも委託も、販売に至るまでのプロセスが長いですからね。)
その頃は、ネット上でハンドメイド作品を販売できるハンドメイドマーケットといえば、minneしか知りませんでした。
そういうわけで、まずはminne
に登録。
その後、まもなくCreemaにも登録しました。
早速、つくったものをスマホで撮影しますが、なかなかうまく撮れません。
日光がうまく当たるように撮影場所や時間帯を変えてみたり、背景を変えてみたり、試行錯誤しながら徐々にましに撮れるようになっていきました。
それから説明文を書くのも慣れません。
他の作家さんの中からお手本にしたいひとを何人も探して、部分的に少しずつ参考にさせてもらい、そこから自分なりの肉付けを行いました。
値段をつけるのもはじめてでしたが、周りの作家さんにならって、500円〜千円前後の値段をつけました。
ネックレスやブローチやピアスなど、それぞれ種類をたくさん出品するとギャラリーが賑やかになり、お店らしく、ギャラリーらしくなりました。
自分のお店ができた!こんなに簡単にネットにお店ができるんだ!
それだけで少し満足でした。
あとはお客さんがきてくれるかどうかです。
ハンドメイド作品がはじめて売れた!
とにかく買ってもらうだけで嬉しい。
はじめはそのくらいの気持ちでしたが、販売し始めたからといって、すぐに売れるわけではありません。
数週間くらいはただ注文が入るのを待っていたと思います。
一人、二人とご注文をいただいたときは、家族中に言いふらして大騒ぎしました。
梱包をして発送し、お客様からはじめてのレビューをいただきました。
自分でつくったものを、見知らぬ誰かにお金を出して注文してもらえるという経験はこのときがはじめてで、なんだか不思議で新鮮な感覚。
作家さん、と呼ばれるのもまだくすぐったく、慣れません。
でもつくったものを売る、梱包して発送する、ということには少しずつ慣れていきました。
アクセサリー作家からプラバン作家になり、屋号も変更
はじめは既製品のアクセサリーパーツからアクセサリーを作っていましたが、だんだん物足りなくなってきました。
そして、
「もっとオリジナリティを出したい」
「自分にしか作れないものを作って喜んでもらいたい」
という欲求が出てきました。
変わったアクセサリーパーツを仕入れてみたり、普通はアクセサリーに使われないものをパーツにしてみたり、試行錯誤が始まりました。
そして次に販売を始めたのは、プラバンブローチでした。
その頃はちょうど、ハンドメイドマーケット内でプラバン作家さんが注目を浴び始めた時期でもありました。
既製品の力に頼らず、プラバン一枚から作れるものを作ってみようと考えたのでした。
プラバンブローチは百円のプラバンを購入して絵を描いたり、色を塗ったりして、切り取ってオーブンで焼き縮めたら、レジンで厚みを出し、ブローチピンをつけて出来上がり。
作品のテイストが大きく変わったので、以前の屋号が似合わなく感じるようになりました。
ここで心機一転、屋号も変更。
それまで決まったロゴはありませんでしたが、はじめてロゴを作り、名刺も用意しました。
「これが自分のブランドです、自分の作品です、と堂々と言えるようになったら、ハンドメイドイベントに出店してみたい」と、この頃から考えるようになりました。
◎作家としての成長のカギは、自分の奥に眠っている本音を引き出すこと
はじめに作っていたアクセサリーは、まったく売れないわけではありませんでした。むしろなかなか好調な売れ行きだったと思います。
それなのに、売れても心のどこかでもやもやしてしまっている部分がありました。
せっかく売れても、褒めてもらっても、なんだか嬉しくないのです。
既製品のパーツのつくり自体を褒められることも少なくありませんでしたしね。
望んでいるのはこれじゃない。。
本当にこれでいいのかな。。
私の場合は、『どうなれば自分が一番満足して作り続けられる?何を作りたい?』と問い続けていました。
せっかくハンドメイド作家をやっているなら、短期間だけやって燃え尽きるのはもったいないと思います。
長く続けるためには、自分の中の気持ちを押し込めず、自分の本音としっかり向き合うことが大切。
そうすると、自分の成長と共にブランドも少しずつ、着実に成長していきます。
ハンドメイドマーケットで背中を押してもらう
新たなブランドとして作品を販売し始めて、数週間経ったでしょうか。
minneのトップページにはじめて掲載してもらいました。
それをきっかけに、フォロワーが急増し、まとめて何件もご注文をいただきました。
以前アクセサリーを作っていた頃とは周りの反応がまったく違う、と感じました。
作るものが違うだけで、こんなに世界が変わるんだ!と感じた経験でした。
また、時期は少し異なりますが、別のハンドメイドサイトの運営の方とお会いする機会があって、「きっと本業になりますよ」と言っていただいたことがありました。
もしかすると軽い気持ちでポロッと出た言葉だったかもしれません。
でもそんな出来事のおかげで、まだ駆け出しだった私の中に、「本業になるかも?」という淡い期待が芽生えました。
ハンドメイドを本業にするための準備
会社を辞め、時間ができて始めたアクセサリー作りでしたが、そろそろ仕事を再開しなければならなくなってきました。
でももうフルタイムの正社員に戻るつもりはありませんでした。
ハンドメイド作家としての収入は、頑張れば数万円程度は得られるようになってきた頃だったので、作家をやりながらできる週3日勤務の派遣の仕事に就きました。
生活費を最低限確保しながら、少しずつハンドメイド作家一本に移行していく計画でした。
そんなに順調とはいえませんでしたが、少しずつ作品を変え、価格を上げて、数年後には、なんとかハンドメイド作家だけで暮らしていけるようになったのです。
ハンドメイド作家のお仕事と掛け持ちで週に半分だけ外で別のお仕事をしている作家さんは結構いらっしゃいます。
最低限の生活費が保証されていれば、安心して残りの時間を作品づくりや販売の勉強などに充てられます。私自身も、副業として活動している時期はとても充実していたように思います。
自分に合った方向性を探りながら、焦らず気長に継続していくことが、ハンドメイド作家を本業にするための一番のコツです。(同時に、ハンドメイド作家というお仕事を半分ライフワークのようにして、将来もずっと楽しく続けていくためのコツでもあるかもしれません。)
そしてもう一つ、それ以上に大切なのは、『近い将来、作家をお仕事にするための行動をとる』ということだと思います。作家になりたいと思いながら、相変わらずフルタイムで別のお仕事をしていて、作家活動がはかどらなければ、いつまで経っても実現しませんからね。
お金も経験もない初心者から本業ハンドメイド作家になるなら
私のように、「初心者で何を作りたいかわからない。でも何か作りたい」という人は多いと思います。
そんな人は、ひとまず自分のつけたいと思うアクセサリーをつくってみたり、身近で安価なところから始めてみるとスタートしやすいと思います。
ハンドメイド作家は、意外とお金も経験もないところから始める人が多いです。
私の場合、お金と経験がないからこそ、気軽にスタートできることに絞ったことで、リスクなく気長に継続してこれたのだと思います。
もちろん、始めたからといってすぐに仕事になるわけではありません。
でも、いったん始めれば、『自分の本当に作り続けたいもの』が少しずつ近づいてくるはず。
見ないふりをしないで、ぜひ自分の気持ちに本気で向き合ってみてください。
本音で作りたいものを作ると、きっと誰かの胸に刺さり、作家が本業になるほどに、ちゃんと売れるようになります。
一日だけ、数回だけの気軽なワークショップや新しい習い事は、何を作ろうか悩んでいる方にとてもおすすめです。
ワークショップの体験から自分の作りたいものを見つけた作家さんは私の身近にもいらっしゃいます。
気分転換になるだけでなく、クリエイティブ脳が活性化して、今の作風にもう一つエッセンスを加えることができたり、新作のアイデアの材料になったりするので、私も定期的にやるようにしています。
本業作家を目指している方はもちろん、今の作品にまだ満足していない方、もっと他の何かに出会いたい、と感じている現役作家さんにもおすすめです。

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ハンドメイドをもっと早く仕事にするなら?
私の場合、「お金も経験もない、でも時間はある」というところからのスタートだったので、ハンドメイド作家が本業になるまでとても時間がかかりました。
でも本当は、こんなに時間をかけなくても本業にすることは可能なのです。
2、3年足らずで本業になった作家さんを身近に何人も見てきて、気づいたことがありました。
それは、服飾の学校を卒業した人、デジタルイラストを学んだ人は強いということです。
まず、洋裁とデザインを集中して学んできた人が卒業してすぐにブランドを立ち上げ、仕事になるパターンを何人も見てきました。
またデジタルイラストについては、自分なりのイラストの路線を見つけて短期間で素敵なお仕事をされるようになった方が、高い確率でイラストスクールを卒業されている方だということ。それから、キャラクターデザインなどに特化してうまくグッズ展開できると、とても爆発力があると感じています。
アナログで絵を描いてもそれが売れてしまったら手元には残りません(たとえ最高傑作でも)が、デジタルなら無限です。一つのキャラクターからじわじわと人気がでて、いつの間にか火がついたように注目を浴びるようになった例を、これもまた身近でいくつも知っています。(今でも時々羨ましくなったりします。笑)
ハンドメイド作家になるために資格などは全く必要ないですし、美大を出る必要も全くないのですが、そういうわけで、デジタルイラストと服飾系の学校については興味があればおすすめしています。
ハンドメイド作家として注目したいのは、
キャラクターデザイン学科がある専門学校↑グループ会社に映画制作会社や音楽会社などがあるため、特に就職率が高いのが特徴(在学中はもちろん、卒業後もバックアップが強力◎)。
在学中からお仕事がスタートする方も多いため、高校生の進路としてだけではなく、大人の再入学先としても人気だそうです。
このような環境に身を置くと、それだけでも意識の持ち方がまったく変わってきます。
専門学校で知り合った友達と共同でブランドを立ち上げた人も私の身近にいるのですが、その方たちもあっというまに百貨店ブランドに成長していきました。
同じ目標を持つ同志と出逢うことができたら素敵ですし、成長スピードも早いように感じます。
服飾についてもおすすめしたいところがあれば、後日追記したいと思います。ではでは。
ディスカッション
コメント一覧
白井 さま
ハンドメイド作家に向けたものは、
何を読んでもピンとこなかった私です。
初めて、自分の心に寄り添ってくれる、ストンと落ちるアドバイスに出会えたような気がしています。
ハンドメイド作家の友達はいないので
こちらを読んで心を落ち着かせることも度々あります。
同じ文面を何度も読んでいます。
特に値上げに関することは、非常に!参考になりました。抽象的ですが、7割、実行に移せたと思います。
これからも心の安定を保つためにも読ませて頂きたいと思います。
こんばんは。コメントいただき、ありがとうございます。
そう言っていただけると、書いた甲斐があります!!
作家のお仕事は大好きですが孤独ですもんね。落ち着かないときにお力になれれば幸いです。
値上げ、取り組まれているんですね。がんばってくださいね。